GR(Graded Reader)の中でもミステリー好きならはずせないのが、Collins の Collins Agatha Christie ELT Readersです。名前の通りアガサ・クリスティーの本を graded した本です
Graded Reader は第二言語や外国語として言語を学ぶ人に対して、語彙や文法、文章の長さがレベル別になっている本です。
Collins Agatha Christie ELT Readers
対象者
A1|A2|B1|B2|C1
GRにはめずらしく、レベルは高めのB1~B2です。B2前後になってくると一般書読む人も多いので、GRが少ないんですよね。
TOEIC LRだと 650~850点 あたりの人がターゲットかな?と。600点超えたばかりだとけっこう大変かなと思われ、900点近くなってくるともの足りないと思われるので、50点外してみました。私が読んでたときの記録を見ると、670~850点の頃に一番良く読んでたみたいなので、妥当だといえそうです。なお、今はB1,B2,B2+というレベル分けになってるのですが、当時はB1レベルの本はなかったことにも言及しておきます。
なお、TOEIC LR 900点近いとか越えてるとかいう人は言うまでもないことですが、回れ右して原書を読んでくださいね(頼むよw)。
ボリューム
大体90ページくらいあります。(付録的についてる人物紹介や語彙説明なども結構ページがあったかと思います)。1冊あたり25,000語前後で、オーディオブックは3時間~3時間40分くらいの長さです。
作家及びストーリー
一応、本を読まない人もいるかもしれないので、少しだけ。
先に作家について。フィクション作家としてのセールスは1位で、2020年時点で2億冊の売り上げ、「And Then There Were None」は 100 million(1億冊)セールスを記録しています。聖書とシェイクスピアに続き、よく売れてる作家の3位と聞いたことがあります。アガサ・クリスティの没年は1976年なので、45年もたってるのにまだ売れてるってのがすごいですね。
ストーリーはよくある Whodunit?(Who done it?の略)誰がやったか?の犯人捜しです。殺人事件が起こって、多くの登場人物の中から誰がやったかを探す王道のミステリーです。どこかでネタバレを読む前に1冊だけ、といわれたら前述の「And Then There Were None」を推します。
なお、とても有名なアガサ・クリスティなので、彼女自身やストーリーについて語る必要があるんだろうかと思ったことには言及しておきます。
本のサンプル
公式サイトからサンプルを見ることができます。
https://issuu.com/collinsed/stacks/97e870ec30b141a4beb5cecbf181e4ab
音源/オーディオブック
本を購入すると音声ダウンロード用コードがついてきて、インターネットで音声をダウンロードする仕組みです。旧版だとCDが直接付属していました。
ナレーターさんは、ネイティブスピーカーが普通に読むよりゆっくりめに読まれますが、A2 後半~B1 くらいのレベルだった私にはやっとついていける速さでした。音だけ聞くと、音は拾えても脳の理解が追いつかず、文字が一緒にあればついていけます。そう考えると、難易度的にはちょうどよかったのかもしれません。
Roger May さんという方が大半をナレーションしています。結構ハッキリとゆっくり話す方で、私は聴きやすかったです。女性の声、特におばさんの声が面白いし、手癖とかの悪い男性の声もなかなかよかったです。
Jane Collingwood さんも何冊も読まれてますが、こちらも聴きやすくて、女性の声が全般的に好きでした。ミスマープルの声もよかったです。
ラインナップ
2023年2月時点のラインナップの一覧です。既刊もかなりありますが、年数冊新しいタイトルがリリースがされています。
私はオーディオブックが好きなので、Narrator も書いておきました。
No | Level | Title | ISBN | Narrator |
1 | B1 | Dead Man’s Folly | 9780008249700 | Roger May |
2 | B1 | Death on the Nile | 9780008249687 | Roger May |
3 | B1 | Murder on the Orient Express | 9780008249670 | Roger May |
4 | B1 | The Body in the Library | 9780008249694 | Gabrielle Glaister |
5 | B1 | Witness for the Prosecution and Other Stories | 9780008249717 | Roger May, Gabrielle Glaister |
6 | B2 | A Murder Is Announced | 9780008392987 | Gabrielle Glaister |
7 | B2 | And Then There Were None | 9780008392949 | Roger May |
8 | B2 | Evil Under the Sun | 9780008392963 | Roger May |
9 | B2 | The ABC Murders | 9780008392970 | Roger May |
10 | B2 | The Mirror Crack’d from Side to Side | 9780008392956 | Gabrielle Glaister |
11 | B2+ | 4.50 From Paddington | 9780008262396 | Gabrielle Glaister |
12 | B2+ | A Pocket Full of Rye | 9780008262372 | Gabrielle Glaister |
13 | B2+ | After the Funeral | 9780007451692 | Roger May |
14 | B2+ | Appointment with Death | 9780008262334 | Roger May |
15 | B2+ | Cat Among the Pigeons | 9780008262402 | Gabrielle Glaister |
16 | B2+ | Crooked House | 9780007451654 9780008262358 |
Roger May |
17 | B2+ | Death in the Clouds | 9780007451609 | Roger May |
18 | B2+ | Destination Unknown | 9780008262389 | Gabrielle Glaister |
19 | B2+ | Hickory Dickory Dock | 9780007451715 | Roger May |
20 | B2+ | N or M? | 9780007451623 | Jane Collingwood |
21 | B2+ | Peril at End House | 9780008262327 | Roger May |
22 | B2+ | Sparkling Cyanide | 9780008262341 | Gabrielle Glaister |
23 | B2+ | The Man in the Brown Suit | 9780007451555 | Jane Collingwood |
24 | B2+ | The Moving Finger | 9780007451630 | John Hasler |
25 | B2+ | The Murder at the Vicarage | 9780008262310 | Roger May |
26 | B2+ | The Murder of Roger Ackroyd | 9780007451562 | Roger May |
27 | B2+ | The Mysterious Affair at Styles | 9780007451524 | Roger May |
28 | B2+ | They Came to Baghdad | 9780007451661 | Joan Walker |
29 | B2+ | They Do It With Mirrors | 9780008262365 | Jane Collingwood |
30 | B2+ | Why Didn’t They Ask Evans? | 9780007451593 | Jane Collingwood |
公式サイトの「ELT」-「ELT Catalog」からカタログが落とせます。カタログは年単位くらいでしか更新されないため、実際に出ている本のほうが新しいタイミングもあります。
Agatha Christie Readers, The Queen of Crime for English Language Readers
https://collins.co.uk/pages/elt-english-readers-agatha-christie-elt-readers
旧版と新装版
ここ何年かで新装版に変わりました。
- 旧版はCDが付いてるタイプだったのが、ダウンロード式になりました
- レベルはB2だったのが、B2、B2+と細分化されました。また、B1の本が新たに増えました
- 表紙デザインも変わりました
- 旧版からあったタイトルについて、中身が変わったかどうかは比較していませんが、多分変更してないんじゃないかなと思います(音声のナレーターさんが変わってないからです)。なので、旧版でも新装版でもどっちでもいいんじゃないかと思います
感想
私が読んでいた当時は旧版で、当時出ていた20冊全てを何年かかけて読みました。
初めて読んだのが「Hickory Dickory Dock」で難しいと思ったことを記憶しています。今見ると「B2+」に分類されてますね。いきなり難しいほうを選んでしまったみたいです。当時の私には難しくて、しばらく寝かせてました。いざ読んだときも、難しくて細部は追えず語彙も怪しいという状態でしたが、面白かったです。 冒頭の脈絡のないなくし物のくだりが好きです。Things have been disappearing. Such odd things. All in a rather strange way. ミステリー始まる感じがするからかな? |
他の本も読み進めるにつれ、ミステリーの語彙が増えました(cyanideとか、suffocateとか…ミステリー読まなければ遭遇しない語たちを。他にはsarcophagusとか…笑)。私のレベルに対して難しいレベルなのがよかったです。難しいけど読めないほどじゃなくて、challenging な感じ。細部にフォーカスしていればもっと学べたことが多かったんじゃないかという気がしますが、完璧にストーリーを楽しんでました。
多読記録を見ると、このシリーズだけで72万語も読んでますね。(繰り返し読んだ本もあります)。聴き読みにハマって、多読的にはかなりのブースターでした。
ミステリー好きでGR読んでるならマストでお勧めです!
今聞くと単純な文章でよく説明してるなぁって感じ。うーん、同じだけの文章が言えるはずだけど、スラスラいえる気がしません。
音声付のGR、しかも長めということで、お値段設定はどうしても安くはないですが(1,600円前後)、他のGRと比較しても reasonable って言える価格じゃないかと思います。BKTさんのセールや丸善 丸の内本店さんの新年セールでよく買ってました。特に丸善 丸の内本店さんの新年セールは中古本が出て、1/3くらいで買えるのでオススメです。行ける距離に住んでる方は狙い目のセールです。
サイト
公式サイト
Agatha Christie Readers, The Queen of Crime for English Language Readers
公式アカウント @CollinsELT があります。
「Collins Agatha Christie ELT Readers」を検索したURLを載せておきますね。
Happy reading!